さて、技術者の皆さまは勿論、熱心なWordpressブロガーの方たちは、
サイトのデザインを何とかしたい、
自由にカスタマイズしたい!
と強く思っていることと思います。
そんな方たちにお勧めしたいのが今回ご紹介する「ブランクテーマ」です。
ブランクテーマ、それは言葉の通りまっさらな中身を持つテーマのことを言います。
早速どんなものなのか見ていきましょう。
■ブランクテーマって何?
過剰な装飾、機能を持たせていない――つまり最小限の装飾と機能のみを搭載したテーマのことです。
人気テーマなどによくみられる特徴は次の2つではないでしょうか。
1. おしゃれな、もしくはクールな外観
2. 完成されたWordpress搭載機能にのっとったテーマ機能
一見素晴らしいテーマに見えますが、外観、機能をフルカスタマイズしたい制作者、コアユーザーにとっては、これほど扱いにくいテーマはありません。
ではこの一見ナイスなテーマの欠点を見ていきましょう。
完成されたWordpress搭載機能にのっとったテーマ機能は制作者、コアユーザーの目指すサイト設計に即してなければ不要になります。
例えば多くのテーマがWordpressのウィジェット機能を使ったサイト作りを展開していますが、制作現場でウィジェット主体の制作をすることはあまりありません。
むしろ各種投稿機能、カスタムフィールドをフルに使用するケースがほとんどです。
つまり、完成されたテーマをベースに制作者、コアユーザーが制作をするとなると、「そのテーマから不要なサイトスタイルと機能の多くをいったん取り除く」という手間をかけなければならないのです。
これが結構めんどく…いや、大変なのです……。
そんなコアユーザーの悩みを解消してくれたのが「ブランクテーマ」になります。
ブランクテーマは以下のような特徴を持つテーマのことを指します。
1. サイトスタイリングはほぼなく、制作者が自由に設定できます。
2. 機能も最小限のもののみ搭載しており、そこに付加機能を自由に足していけます。
3. 自由度が高い分、Wordpress、およびPHPに関する一定以上の知識が必要です。
では、ブランクテーマがどのようなテーマかわかったところで、テーマの中身を見ていきましょう。
■ブランクテーマの内容
ブランクテーマの内容にどのような特徴があるのか、すでに完成しているテーマと比較しながら見ていきましょう。
今回取り上げるブランクテーマはこちら。
underscores
ただ記事を投稿しただけでは味気ないサイトが出来上がります。
機能やスタイルを思うがままにカスタマイズしていくことで、Wordpressの機能を最大限に生かした素敵なサイトが完成します。
その気になればどんなスタイルでも作れてしまう、素敵なテーマ、それがブランクテーマです。
このunderscoresはテーマの名前も自分の好きな名前に設定してからダウンロードができます。カスタマイズ好きにはうれしいサービスですね。
比較する対象はこちら。
とあるテーマ。
記事を投稿するだけでそのテーマに即した完成された外観のサイトができます。
記事を投稿するだけでそのテーマに即した完成された外観のサイトができます。
自ら行わなければならないサイト機能設定は最小限である一方、新たにこんなサイト機能を付加したい…などと思い立ったときに機能を付加しにくいという特徴があります。サイトのスタイリングについても同様で、後からスタイルを変えるのは一苦労です。
そのテーマの機能と外観に納得して使用する分には、完成されたテーマというのはとても便利なテーマです。
カスタマイズしたい制作者のような人々にとっては扱いにくいテーマとなります。
ではテーマの中身を見ていきましょう。
◆テンプレート数の違い
「underscores」: 12テンプレート
「とあるテーマ」: 30テンプレート
とあるテーマと比べると、underscoresのテンプレート数は半分以下という少なさ。
本当に基本的なテンプレートしか持っていません。
一方とあるテーマは基本的なテンプレートのほか、投稿が見つからなかったときに吐き出されるページのテンプレート、アイキャッチ画像を表示するテンプレート、Wordpressのウィジェット機能を活用するテンプレートなど、多数の機能的なテンプレートが用意されています。
◆テンプレートの中はどうなっている?
テンプレートの中にどのようなスクリプトが書かれているのか、どちらのテーマも持っているarchive.phpを取り上げてみていきましょう。
下図はfooter.phpのスクリプトになります。
左がunderscores、右がとあるテーマのスクリプトです。
underscoresのarchive.phpは以下のようなものです。
総行数: たったの51行です。
スクリプト:簡単なテンプレートの説明と、メインループだけが書かれています。
一方、とあるテーマのarchive.php は以下の通りです。
総行数: 105行ありました。
スクリプト: 各種分岐条件がびっしり書かれており、すでに完成されているスクリプトでしたHTMLのマークアップもぬかりなしですね。
次にやはり両者共通で持っているfooter.phpを見てみましょう。
下図はfooter.phpのスクリプトになります。
左がunderscores、右がとあるテーマのスクリプトです。
underscoresのfooter.phpは図のように最低限の記述しかされていません。
ここに制作者が機能なり、スタイルなりを肉付けしていきます。
とあるテーマのfooter.phpは、Wordpressのウィジェットを組み込めるようにした作りこまれたスクリプトになっています。
2つのテンプレートを見てきましたが、その違いは一目瞭然です。
underscoresは「機能やスタイルを付加していく」テンプレートであるのに対し、とあるテーマは「機能、スタイルともに完成した」テンプレートになっています。
■制作者、コアユーザーにとって良いテーマとは?
制作者、コアユーザーにとって良いテーマ、それは「制作がしやすい」テーマです。
「制作がしやすい」とはどういうことでしょうか。
一般的にWeb制作を仕事としている方の多くは、お客様のさまざまなご要望に応えて、柔軟に機能、スタイルを付加していくのではないでしょうか。
そうしたときにすでに機能や、サイトスタイリングが完了しているテーマというものは使いにくいものです。
最初に述べたように、出来上がっている機能とスタイルを除去して必要なものを再実装する必要があるからです。
余分な機能付加やスタイリングが施されていないブランクテーマであれば、上述のような余分な機能、スタイルの除去、という手間が省けます。
ブランクテーマはWeb制作者、コアユーザーにとってはベストなテーマではないかと思うのです。
制作会社によっては「自社テーマ」というものを持っているケースもあるでしょう。そのテーマの内容はブランクテーマに近いものがあるのではないでしょうか。
■ブランクテーマを扱うために必要な知識
完成されたテーマの場合、Wordpressのダッシュボードの機能さえ知っていれば簡単に使えるものが多いです。
しかし、ブランクテーマはそうはいきません。
・Wordpressのテンプレートタグ、テンプレート階層の知識
・Wordpressでよく使われるPHPの知識
が必要になります。
これらについてはインターネット上に有用な参考サイトがありますので、ぜひ活用してみてください。
◆Wordpressのテンプレートタグ、テンプレート階層の知識
「Wordpress codex」
http://wpdocs.osdn.jp/
Wordpressの機能的な知識を深めたいならここが一番です。
◆PHPの知識
「Web Design Recipes」
http://webdesignrecipes.com/php-programing-and-wordpress/
Wordpressを扱っている人々の間では有名なサイトですね。
PHP初学者の方はこのページを参考にされるとよいと思います。
「PHP Manual」
https://secure.php.net/manual/ja/index.php
PHPのオンライン辞典のようなサイトです。
筆者の場合わからないことがあればまずここを閲覧します。
■たくさんあるブランクテーマ
今回はunderscoresをブランクテーマの代表例として取り上げましたが、ブランクテーマはほかにもたくさんあります。
筆者が実際に使ってみて使いやすかったテーマを紹介します。
Bones
http://themble.com/bones/
HTML5ベース、レスポンシブデザイン対応の良テーマです。
初学者の方でも導入しやすいように、各テンプレートには丁寧な説明がついています(underscoresももちろんついています)。
テンプレート数が比較的多めのブランクテーマです。
NAKED WORDPRESS
http://naked-wordpress.bckmn.com/
こちらもHTML5ベースです。
レスポンシブデザインにも対応しています。
やはり親切に各テンプレートに丁寧な説明がついています。
テンプレート数は少な目で、本当に最小限のもののみで構成されています。
各テーマを使い比べてみるのも面白いのではないでしょうか。
まだまだたくさんあるブランクテーマ。
あなたの好みのテーマを見つけて素敵にカスタマイズしてみましょう!
そして、ゆくゆくは自分のオリジナルテーマを作ってみませんか?
初学者の方には、ブランクテーマを使ったサイト構築を強くお勧めします。
トライアンドエラーで構築を進めていく過程で、Wordpress、PHPへの知識を深めることができます。
本を読んで勉強することも大事ですが、実際に体験しないと学べないこともたくさんあります。
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