第三回(最終回) WEBディレクター/WEBデザイナー Y.Mさん
これからWebサイトやWebアプリケーション制作に携わりたいと考えている方、必見です!
本連載では、初心者から現役Webコンテンツ制作者になった方の生の声をお届けします。
彼らはどのようにしてWebコンテンツ制作業界に入ったのでしょうか、どんな努力をしてきたのでしょうか。
現在どのような仕事をしているのでしょうか。
最終回である第三回目はWEBディレクター/WEBデザイナーであるY.Mさんのインタビューをお届けします。
これから起業も視野に入れている方、必見です!
お話を伺った方 : Y.Mさん(38歳・男性) ……以下Y.M(敬称略)
キャリアパス : 専門学校で広告デザインを勉強し、その後広告会社、WEB制作会社を経て、独立。
自ら経営、営業、WEBディレクター、WEBデザイナーとして多方面で活躍をされている。
―そもそもデザイン系に進もうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
Y.M:東京へ行ったときにダンス、スケートボードをたしなんでいまして(笑)。そのチームのオリジナルグッズを作成することになったんです。そのグッズの作成過程をみて、実際にできたグッズを見て感動したんです。
その頃はまだデザインのデの字も知らなかったけれど、デザインって素敵だなと思いました。それがきっかけですね。
―その後改めてデザインを勉強しようと思われたのですか?
Y.M:そうです。専門学校に入ったんです。
当時はまだWEBデザインなどはなく、広告、DTP関連の勉強をした。
不真面目な学生で勉強そっちのけで、グラフィティに夢中になっていました。そこでイラストを覚えた感じでしょうか。
―専門学校を卒業してからはデザイン系の企業に就職されたのでしょうか?
Y.M:いえ、今でいう就職浪人をしていました。実務経験がなかったこと、また専門学校の一期生だったので就職先のコネが全くなかったことが原因でしたね。デザイン関連の仕事に就くのは容易ではありませんでした。
就職浪人の期間も、じっとしているのではなく、自分で作品を作り続け、ポートフォリオとして出せるものを増やしていきました。それを見ていただいたデザイン会社が社員として受け入れてくださって、デザイン業界でのキャリアが始まりました。
―苦労して入られた会社で、どのような仕事をご担当されていたのでしょうか。
Y.M:主に新聞折り込みチラシの制作などをしていました。
―実務を開始して、キャリアを築いていく過程はいかがでしたか? 順風満帆でしたか?
Y.M:まさか(笑)。最初は大変でした。専門学校の知識では実務に歯が立ちませんでしたし。もう何もかもがぶっつけ本番でした(笑)。
しかしそこの業務が過酷すぎて、体調を崩したんです。仕方ないのでいったん退職して静養することにしました。
しかしデザインの道はあきらめられませんでした。体調が回復してきた頃合いを見計らって、再度DTPの会社に就職したんです。
―そうなんですね。ここでもDTPなど紙媒体のお仕事をされていたのですね。
Y.M:そうですね。ただ、この会社がキャリアの転機になりました。
同じフロアにWEBの部署があったんです。そこの仕事を見てWEB制作に興味がわいたんです。
またタイミングよくクライアントから、WEBは作らないの?と聞かれることも多くて。
WEBの需要って結構あるんだと気づき、これはやらなければ、と思ったんです。
―当時はWEBは珍しかったですからね。本当に出始めでしたから。
Y.M:そうですね。ですので、独学で必死に勉強し、なんとかWebを作れるようになりました。
そんな時に本当にたまたまなのですが、官公庁のホームページ大型リニューアルに参加しないかと声がかかったんです。これはチャンスと思い、参加を決めました。
その後ディレクションを学んでみたくて、未経験ながらディレクターとしてWEB制作会社に転職して、経験を積みました。
―すごくいいタイミングでチャンスをつかめたのですね。
Y.M:不思議なんですが、一生懸命頑張っていると、なぜかチャンスがきたんです。
それは今も変わらないです。
こういったことがあって、あきらめない限りこの業界でやっていける、と確信を持ちました。
―努力がチャンスを呼んだんですね。つかんだチャンスにはどのように取り組んでいったのでしょうか。
Y.M:常に自分の持っているもの以上のものをお客様に提供しようと考え続けていました。
悩んで直して、これしかない! と思えるものを作り上げていきました。
どれもこれも大変な作業でしたが、そこまで作りこんだものは、ある程度年数がたっても、「お、いけてる!」と感じるんですよね。
―時代が変わっても魅力が色あせないということでしょうか。
Y.M:そうです。そのくらい真剣になって作ったものはいつの時代でも実績として出して恥ずかしくないです。
それをポートフォリオにまとめて、誰かの目に留まって、仕事が入ってくるんですね。
金額が安かろうともなんだろうとも、自分のありったけのもの以上を出していれば、チャンスはめぐってくるんですね。
―いろいろ苦労されて取得したスキルもあってのチャンス到来という気がしますね。
チャンスを成功に変えるためにはどのようなことを行われていたのでしょうか?
Y.M:うーん、当たり前のことを一生懸命行っていた、といいますか。
成功ってなにかな、と考えたときに、私は、クライアント、エンドユーザー、そして自分の3者のWin-Win-Winの関係が成功だと考えています。
たとえダサいデザインでも、クライアントが気に入れば、もっと突き詰めると、エンドユーザーが気に入ればそれが正解。
クライアントなど情報を発信する側はあれもこれもと盛り込みたがるのですが、実際のところ、欲しいもの、目的は一つだと思うんです、WEBの場合。
エンドユーザーの意思があり、検索という行動に出て、うまくどこかのサイトにマッチングすれば、そのサイトは成功なんです。余計なノイズが入ったWEBサイトだと、ユーザーはなかなかサイトに食いついてくれない。
エンドユーザーの行動まで考えてサイトを作り、クライアントがエンドユーザーの行動から離れた指針を建てようとしていたら、それは違うと思いますよ、という提案力が必要だと思い、実践してきました。
―ここまでお話を聞いた限りでは、WEB系の勉強は独学でされたようですが、どのように勉強されていたのでしょうか。
Y.M:私は基本的には書籍ですね。ひたすらいろいろな書籍を読む。あとはセミナーに行ったり、職場の人にわからないところを聞いたり、と。
たまたまプログラマーの方と共同作業をする機会があったので、コーディングの基礎とDreamweaverの使い方は独学のほか、その方に教わりました。
Dreamweaverについては、最初はなんじゃこりゃ、全然わからないという感じでした(笑)。
h1ってなに? っていうレベルですよ。
コーディングは今でも難しいと感じ、苦手です。
デザインは紙媒体でのデザインの素地があったので、それを生かしてWEBデザインを行っていました。
わからないところはとにかく本ですね、本を頼りに学びました。
―なるほど、本で学習されたのですね。
これからWEB制作業界を目指す人たちに伝えたいメッセージはありますか?
Y.M:あなたの頑張りは誰かがどこかで見ています。そしてチャンスのサインを出してくれます。そのチャンスを逃さないようにしてください。
そして楽しく仕事しましょう。健康で、生活も一定の水準をきちんと維持して、ベストの仕事をする。
そしてクライアントもエンドユーザーも、自分も、みんなが幸せになれたらいいですね。
社会貢献もできて、自分の生活も成り立つ。いつもベストを尽くす。
それが真のクリエイティブ。
―最後に今後の野望を聞かせてください。
Y.M:実はこの前独立しまして、会社の代表と、営業、WEBディレクター、WEBデザイナーの四足の草鞋を履いている状態なんです(笑)
これからは東京に事務所を構えて、クライアントに直接お会いして仕事をどんどん進めたいと思っています。
今までの成功も失敗も糧にして、楽しく、この会社で頑張りたい、と思ってもらえる会社にできたら幸せですね。
チャンスを逃さないこと、たゆまぬ努力が欠かせないことを強く発信していたY.Mさん。
苦しいことも成功もすべて自身の糧にして、起業するに至ったのですね。
エンドユーザーにまで思いをはせた、徹底的なサイトの作りこみ、という取り組みは、やって当たり前なことですが、なかなか実現が難しいですよね。
そこに果敢に立ち向かう姿勢に感銘を受けました。
連載:教えて先輩! Webコンテンツ制作者を目指すにどうすればいいの? は今回で終了です。
全三回、様々な職種の方のキャリアパスを見てきました。
WEB制作業界の素晴らしさや、辛さなど、様々な内容を拝聴することができました。
この連載が皆様のキャリア選択の一助になればうれしいです。
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- キム