これだけモバイルというものが普及する中で米Apple社と同じく米Cisco Systemsの事業提携というのは、今後のマーケットに大きな影響を与えることが予想されています。
ではこの狙いというのは元々どのようなものなのでしょうか。
それはずばり、
IOS端末をビジネス目的で利用しているユーザーに、今まで以上の「高速車線」を提供すること
だと言われています。
簡単にいうと、
Ciscoのネットワーク機器をiOS端末やアプリケーションに適用し、それを企業環境に統合する
ということです。
もちろんこの話にはまだまだ色んな「懸念」というものがあります。
例えばモバイル端末の利用が多くなることで、ネットワークへの負荷が非常に高くなり、アプリが本当に正常に動くのかという懸念です。
またそうしたことを解決していくには、かなりのコストも生じてくることでしょう。
この疑問に対して、Ciscoのシニアバイスプレジデントであるローワン・トロロープ氏(以下:トロロープ氏)は先日ライブ動画配信サービス「Periscope」のインタビューに応えました。
トロロープ氏:「入院しているときに医者に遠隔から診察してもらう状況を想像してほしい。もし隣の部屋の患者がネコの動画をダウンロードしていたらどうだろうか。医者の遠隔診察とネコ動画のダウンロードを同じサービス品質で扱ってほしくないはずだ。『こちらはとても重要なトラフィックなのだから、ネットワークをもっと優先すべきだ』と主張したくなるだろう」
つまりCiscoは企業ネットワーク内でのiOSアプリの動きを「可視化」して、高速化するのでネットワークへの負担は問題にならないと言っているのです。
これにAppleのリセラーでCiscoのパートナーであるスティーブン・モンテロス氏(以下:モンテロス氏)も同調しています。
モンテロス氏:「 iOS端末を企業に導入しているときに、モバイルネットワークの問題にたまたま突き当たった。その当時はそれがiOS側の問題なのか、ネットワーク側の問題なのかという疑問が浮かんだ」
さて、次に考えなくてはいけないのは企業のコミュニケーションネットワークにiPhoneをネイティブ対応させるということです。
Ciscoの音声・動画環境があれば、iPhoneとデスクフォンを統合させることも難しくありません。
これには通話品質が向上する以上の「メリット」があります。
トロロープ氏:「シンプルにWi-Fiネットワークに参加するだけでなく、通話体験も大きく変わることになるだろう。例えば、社内のPBX経由で受けた電話をiPhoneに転送して応対するといったこともできるのだ」
今回の提携はどうやらAppletoCiscoのどちらにもメリットの大きいもののようです。
Ciscoはエンドツーエンドのシステムを手に入れることで、モバイルエンタープライズの分野でより存在感を示すことができます。
またAppleは今回のサービスでCiscoの開発能力を武器に、より市場での優位性を高めることができるのです。
もちろん、今の段階ではネットワークの平等性や他のライバル企業の反発などまだまだ解決しなくてはいけない課題も多いのです。
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- TA.T